小児外科の病気
比較的多くみられる鼠径ヘルニア(脱腸)や停留精巣・移動性(遊走)精巣(精巣が陰嚢内に下降していない、または頭側に上がりやすい)、包茎などの病気のほか、急性虫垂炎や急性陰嚢症など緊急手術を必要とする病気の診療にあたっています。
小児特有の外科的な病気に対しても小児外科専門医が適切な検査、診断を行い、手術が必要な場合には速やかに該当施設へ紹介させていただきます。
また,小児泌尿器の専門医資格を有しており,上記の停留精巣や移動性(遊走)精巣など比較的多くみられる疾患から,膀胱尿管逆流症(VUR)や水腎症、尿道下裂のほか,女の子の外陰部異常や夜尿などの病気の診療にもあたっています。お父さんと違う、お兄ちゃんお姉ちゃんと違う、など気になる症状があればお気軽にご相談ください。
小児外科鼠径ヘルニア(脱腸)
小児外科で最も多くみられる病気です。鼠径部(男の子では陰嚢の場合もあり)が半球状に膨らんだ状態で確認できます。立位になるだけで起こることもあれば,啼泣時など腹圧が上昇した際に確認されます。また,入浴後にも比較的多く確認されます。お腹の中の腸管が脱出していることがほとんどですが,その他大網,女の子では卵巣が脱出していることもあります。
一般的に症状は無く,日常生活に問題はありません。稀に嵌頓ヘルニアを起こすと不機嫌や腹痛,嘔吐などの症状を伴い緊急手術が必要な場合もあります。
自然治癒する可能性は低いため、治療には手術が必要です。
停留精巣・移動性(遊走)精巣
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停留精巣
ほとんどの場合出生時の診察や乳幼児健診で指摘されます。放置した場合,不妊,精巣の悪性化など不利益を伴うことから手術が必要な病気です。
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移動性(遊走)精巣
精巣が陰嚢内から鼠径部にかけて容易に移動する状態です。まれに手術が必要となる場合もあります。上記の停留精巣との鑑別が重要となります。
急性虫垂炎(盲腸)
子どもの急性腹症(腹痛)のなかで最も多く一般的な病気です。臍周囲から右下腹部に移動し増強する腹痛,嘔吐,発熱が主な症状です。検査では超音波検査で虫垂の腫れと虫垂の壁の構造を確認し,血液検査による炎症所見と併せて診断できます。
子どもの虫垂炎は穿孔(壁が破れてしまう)が起こりやすいとされ,早期の診断が望ましい病気です。その他の腹痛を起こす病気との鑑別を行い,診断がつくまたは疑わしい場合には,速やかに手術が可能な施設をご紹介します。
肛門周囲膿瘍
肛門の周囲に膿瘍を形成する病気です。乳児期に下痢をきっかけに発症し,肛門周囲が急激に赤く腫れ、膿瘍が形成されます。男児に多く,ほとんどの場合側方(3時,9時)にできます。切開して膿を出す処置が必要な場合と,漢方薬を用い治療できるものとあります。
おしりをふくときに泣く,痛がるなどの症状があればご相談ください。
急性陰嚢症
突然起こる陰嚢の強い痛みをまとめて急性陰嚢症と呼びます。緊急で手術を必要とする精巣捻転症や,鼠径ヘルニア嵌頓を見逃さないことが重要です。その他,精巣垂や精巣上体の捻転も同様の症状で発症します。診断には超音波検査が役立ちます。